結婚式の披露宴で 市販楽曲(CD音源・配信音源) をムービーに使う場合、ISUM(一般社団法人 音楽特定利用促進機構)への申請が必須です。違反すると著作権法違反になります。本記事では自分で申請する場合と業者代行の費用・所要時間を比較します。

そもそも ISUM とは

ISUM は、結婚式・葬儀などの儀式利用に限定した 音楽の包括許諾団体です。本来複雑な著作権許諾(JASRAC・原盤権など)を ISUM が一括して取り扱うことで、結婚式映像での市販曲利用がワンストップで申請可能になります。フリー曲ライブラリ(外注業者が用意する権利クリア済の楽曲)を使うなら申請不要です。

申請が必要なケース・不要なケース

必要CD・配信で買った市販曲をムービーで使う/プロフィール・オープニング・エンドロールで Official髭男dism、米津玄師、King Gnu などのアーティスト曲を使う
不要業者のフリー楽曲ライブラリから選ぶ/クラシック等の著作権保護期間が切れている楽曲

自分で申請する場合の手順

  1. ISUM 公式サイトでアカウント登録。式場・新郎新婦の情報を入力。
  2. 使いたい楽曲を ISUM データベースで検索。登録済みの楽曲なら即申請可能。
  3. 申請フォームに楽曲名・利用シーン・利用時間を入力。プロフィールムービーの場合「複製」と「演奏」両方の許諾が必要。
  4. 料金支払い:1曲につき ¥1,500〜¥2,500(複製+演奏で)。
  5. 許諾書を取得:申請から 3〜5営業日でメール送付。式場・業者に提出する。

業者代行を使う場合

主要外注業者の ISUM 代行料金は以下の通り:

業者代行のメリットは 申請ミス時の差し戻し対応を業者が引き受けてくれること。デメリットは自分でやるより約 ¥3,000〜¥4,000 高くなる点。

編集部の判断フロー

  1. 使う楽曲が1曲のみISUMにすでに登録済み → 自分で申請(¥1,500〜¥2,500で済む)
  2. 2曲以上使う or 初めてで不安 → 業者代行(¥5,500/曲)
  3. 市販曲にこだわらない → 業者のフリー楽曲ライブラリから選択(追加料金なし)

よくある失敗

「申請を式の1週間前にやろうとして間に合わなかった」

ISUM 申請は審査込みで 3〜5営業日。式の 3週間前までには動き始めるのが安全。式まで時間がない場合は、業者代行+特急対応の組み合わせで間に合うことが多い(例: ココロスイッチ)。

「ISUM に登録のない曲を選んでしまった」

マイナーなアーティストや古い楽曲は ISUM データベースに登録がなく、その場合は 個別に著作権者と原盤権者に許諾を取る必要があります(数ヶ月かかることも)。事前に ISUM 公式 で検索してから楽曲を決めるのが鉄則です。

ISUM が必要な楽曲か、フリー楽曲か、見分け方

「使いたい楽曲が ISUM 申請が必要かどうか」を最速で判別するためのフロー図を編集部がまとめました。

判別フロー(3 ステップ)

  1. JASRAC 検索を使うJASRAC 作品データベース検索で楽曲名を検索。ヒットすれば JASRAC 管理曲(=市販曲扱い)で ISUM 申請対象
  2. アーティスト名で検索する手順:「米津玄師」「Official髭男dism」のようにアーティスト名で検索すると、そのアーティストの全楽曲リストが表示される。アルバム曲やカップリング曲の登録漏れもここで確認可
  3. ISUM データベースで二次確認:JASRAC で見つかっても、ISUM のデータベースに登録がない場合は別途個別許諾が必要。ISUM 公式の楽曲検索で必ず確認

「フリー楽曲」と判断していい 3 パターン

  • 業者のフリー楽曲ライブラリ内:各業者が権利クリア済みの楽曲を 100〜200 曲用意。これは申請不要
  • 著作権保護期間が切れた楽曲:作曲者の死後 70 年以上経過した楽曲(クラシック等)。ベートーヴェン、ショパン、バッハなど
  • フリー素材サイトの楽曲:DOVA-SYNDROME、甘茶の音楽工房など、商用利用可と明記されているもの

判断に迷ったら、業者の担当者に楽曲名を伝えて「これは ISUM 申請が必要ですか」と直接質問するのが最速。各業者の担当者は業務上日常的に確認しているため、即答してくれることが多いです。

2024〜2026年に許諾が増えた楽曲

近年、若い世代に人気のアーティスト楽曲が ISUM へ続々と追加されています。編集部が 2024年以降の主要アーティストの登録状況を取材した結果です。

米津玄師

主要楽曲は登録済み。「Lemon」「KICK BACK」「感電」「Pale Blue」など代表曲は ISUM 申請可能。ただしアニメタイアップ曲は原盤権の扱いが複雑な場合があり、個別確認推奨。

Official髭男dism

ほぼ全曲が登録済み。「Pretender」「I LOVE...」「Cry Baby」「Subtitle」など人気曲がカバーされており、プロフィールムービーの定番アーティストになっています。

King Gnu

主要楽曲は登録済み、新譜はタイムラグあり。「白日」「飛行艇」「Vinyl」は申請可能。リリース直後の最新曲は ISUM への追加に 3〜6 ヶ月かかる場合があるため注意。

YOASOBI

主要楽曲は登録済み。「夜に駆ける」「アイドル」「群青」「優しい彗星」など。原作小説とのタイアップ曲も基本的に対応済みです。

その他注目アーティスト

  • Vaundy:「怪獣の花唄」「踊り子」など主要曲対応
  • back number:結婚式定番アーティストとしてほぼ全曲対応
  • Mrs. GREEN APPLE:「青と夏」「ライラック」など対応
  • Ado:「うっせぇわ」「新時代」など対応、ただしカバー曲は別途確認

ISUM 公式は 月に 1〜2 回データベースを更新しているため、半年前に「登録なし」だった楽曲が今は登録されているケースも多々あります。発注直前に必ず最新状態を確認してください。

業者代行 vs 自分申請の損益分岐点

「自分で申請すれば安いが手間」「業者代行は楽だが高い」── どちらが得かは 楽曲数で決まります。編集部の計算を共有します。

楽曲数自分申請の総額業者代行の総額(CHOU CHOU 基準)差額
1 曲¥1,500〜¥2,500¥5,500〜¥7,150+ ¥3,000〜¥5,650
2 曲¥3,000〜¥5,000¥11,000〜¥14,300+ ¥6,000〜¥11,300
3 曲¥4,500〜¥7,500¥16,500〜¥21,450+ ¥9,000〜¥16,950
4 曲(3 本ムービー想定)¥6,000〜¥10,000¥22,000〜¥28,600+ ¥12,000〜¥22,600

金額差だけ見れば自分申請の方が圧倒的に安いものの、編集部は以下の観点で判断することを推奨します。

自分申請が向くケース

  • 使う楽曲が 1〜2 曲で、すべて ISUM 登録済みが確認できている
  • 式まで 3 週間以上の余裕がある
  • Web フォーム入力に抵抗がなく、PC 操作が苦にならない

業者代行が向くケース

  • 3 曲以上使う、または楽曲が複数のムービーにまたがる
  • 申請ミスでの差し戻しが心配(業者代行なら業者が責任を持って対応)
  • 式まで時間がなく、申請業務に時間を割けない
  • 初めての結婚式準備で、全体を業者に任せたい

申請後の修正手続き

「ISUM 申請後に楽曲やシーンを変更したい」というケースは意外と多くあります。編集部が確認した手続きの詳細です。

楽曲変更時の追加申請

申請済みの楽曲を別の楽曲に差し替える場合、元の申請を取り消して新規申請をやり直すのが基本フロー。残念ながら申請料の返金はないため、楽曲変更のたびに ¥1,500〜¥2,500 が再発生します。業者代行の場合も同様で、CHOU CHOU は申込後の楽曲変更に ¥5,500 の手数料がかかります。

シーン変更時の追加申請

「プロフィールで使う予定だった楽曲を、エンドロールに変更したい」のような利用シーン変更は、新たな申請として扱われるのが原則。理由は ISUM が「複製」「演奏」など利用形態ごとに許諾するため、シーンが変わると利用形態が変わってしまうからです。

利用時間の変更

申請時に「楽曲を 3 分使う」と申告し、実際は「4 分使った」というケースでは、追加申請の対象になります。多少のバッファ(30 秒程度)は許容範囲ですが、明らかに利用時間が延びる場合は事前申告を必ず変更してください。違反すると著作権侵害になります。

編集部からのアドバイス

ISUM 申請は 「完全に楽曲とシーンを確定してから」行うのが鉄則です。発注の早い段階で申請すると変更コストが膨らみがちなので、初稿確認が終わって楽曲・シーンが固まったタイミングで申請するのが効率的。修正無制限の業者(ナナイロウェディングココロスイッチ)と組み合わせると、ISUM 申請のタイミングも柔軟に調整できます。